無音はストレスになる——ラジコを聴きながら仕事する現場監督の話

現場の話


無音はストレスになる

ラジコを聴きながら仕事をしている。無音状態での仕事は、ストレスになる。喫茶店にも飲食店にも、リラックスできる場所には必ず音がある。それは偶然ではないと思う。

なぜか、と考えた。人間の脳は、無音状態を「何か異常が起きているかもしれない」と感知するようにできているという。だから無音の空間にいると、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていく。完全な無音は「静けさ」ではなく「緊張」を生む。

65dBカフェの平均的な環境音。創造性を最も高める音量レベルとされる86%音楽を30分聴いた後、リラックス効果が確認された社員の割合5日間英国の研究機関が実施したBGM効果実験の期間。BGMありの方が生産性が高いと実証

BGMが職場にもたらす効果は3つある。一つ目は「マスキング効果」。BGMが流れることで、気になる雑音が耳に入りにくくなる。二つ目は「ストレスホルモンの低減」。音楽を聴くことでストレスに関わる物質の分泌が抑えられる。三つ目は「コミュニケーションの促進」。無音の緊張した空間では声をかけることすら気が引けるが、BGMが流れると場の空気が和らぐ。

無音状態BGM・環境音あり
些細な音が気になって集中できないマスキング効果で集中環境が守られる
緊張感が漂いストレスが溜まるリラックスしながら仕事に向かえる
声をかけにくい張り詰めた雰囲気自然なコミュニケーションが生まれる
ストレスホルモンが増加しやすいストレスホルモンが低減される

一方で、音楽が集中力を下げるという研究もある。歌詞のある音楽は言語処理と競合し、思考を妨げるというデータだ。つまり大切なのは「音があるかどうか」ではなく「どんな音か」ということになる。

⚠ 反対意見——音楽が集中力を下げる場合もある

歌詞のある音楽は、文章作成・思考系の作業では逆効果になる場合がある。脳の言語処理領域が歌詞に引っ張られるためだ。インストゥルメンタル(歌詞なし)・自然音・カフェの環境音など、思考の邪魔にならない音を選ぶことが重要だ。

私は80年代・90年代前半の音楽が好きだ。カウントダウンTVで流れていたあの時代の曲たちは今でも離れない。若い人が何を聴いているのかよくわからない。自己中かもしれないが、まあそれでいい。今の若者に人気の「ローファイヒップホップ」も、ゆったりしたテンポ・歌詞なし・カフェの雰囲気——仕事に合う音楽の本質は、どの世代も変わらない。

世代好きな音楽共通点
50〜60代80〜90年代ロック・ポップス心地よいテンポ・聴き慣れた安心感・自然にテンションが上がる
20〜30代ローファイヒップホップ・チルアウト

音の話をするなら、もう一つ避けて通れないテーマがある。職場のトイレだ。狭い空間では音が響く。TOTOの調査によると、外出先のトイレで音が気になると答えた人は75%にのぼる。気にならないと答えた250人のうち191人は男性だという。

項目割合
外出先のトイレで「音が気になる」と答えた人75%
自分の排泄音が気になると答えた人65%
音姫を利用したことがある女性の割合91%
音姫を利用したことがある男性の割合19%

私は現場のトイレにも音への配慮をしている。仮設トイレでも、できる限り擬音装置を設置するようにしている。現場もホテルやリゾートと同じ感覚で扱う必要がある。どこまで気を配るか——それが管理職としての配慮の深さだ。

管理職へのひとこと——男社会よ、変われ

BGMひとつ、トイレひとつ。その小さな配慮が、現場の文化を変える第一歩になる。建設業は長い間、男社会だった。「現場なんだから我慢しろ」という発想こそが、女性が定着しない理由であり、若手が去っていく理由だ。セクハラ、パワハラ、マタハラ——女性へのハラスメントは今も根深く残っている。制度だけでは変わらない。一人ひとりの意識改革が必要だ。変わるのは今だ。まず自分の現場から始めればいい。

喫茶店に音があるのは、人間がそういう生き物だからだ。静けさより、温かみのある音の中でこそ、人は本来の力を発揮できる。そういうものだと思う。

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