屋根や屋上の改修工事の依頼が来る時、その多くは漏水が原因だ。
「雨が降ると天井が濡れる」「あの辺りから水が来ているようだ」——お客様の言葉を聞きながら、現場を見る。そしてよくあるのが、原因を特定しないまま工事が始まるケースだ。
防水をやり替えれば直る。そう思っている人が多い。しかし実際には、そんなことは意外とない。
「おそらくここだろう」が招く失敗
現場で漏水の相談を受けた時、こんな言葉をよく聞く。
「〇〇だろう」「おそらくここだろう」
そこで止まってしまう。再現しない。確認しない。思い込みで工事が始まる。当然、直らない。対策は後手後手になり、工事は無駄になり、お客様の信頼も失う。
漏水の怖さは、原因が見えないことだ。水は思わぬところを伝って、思わぬところから出てくる。「見た目で判断できる」と思っていると、必ず足をすくわれる。
実話① 犯人はサッシだった
あるお客様から、ルーフデッキからの漏水だと相談を受けた。お客様自身も、周囲の職人も、みんなそう思っていた。ルーフデッキの防水に問題があるのだろう、と。
工事を終え、引き渡した。しかし漏水は止まらなかった。お客様の信頼はガタ落ちだ。やむなく外注の調査会社にサーモグラフィ調査を依頼した。そこで初めて真実がわかった。
原因はルーフデッキではなく、その上にある小窓のサッシだった。サッシのわずかな隙間から入った雨水が、壁の中を伝い、ルーフデッキの下から出てきていたのだ。
最初に再現調査をしていれば、防げた失敗だった。
実話② 電気配管を伝った水
トップライト付近の天井から漏水するという依頼だった。状況からみて、トップライト周りの防水が原因と思われた。
大規模な改修工事を行った。トップライトを含め、屋上全体を手がけた。費用も時間もかかった。
それでも、漏水は止まらなかった。
おかしい。どこかに見落としがある。点検口を開けて、丁寧に追った。すると原因が見つかった。屋上に設置された電気BOXから、電気配管を伝って水が入り込んでいたのだ。トップライトとは全く関係のない場所だった。
大規模改修は、無駄になった。
漏水は必ず再現する
この2つの失敗から学んだことがある。
漏水は必ず再現しなければならない。水をかける。雨を待つ。サーモグラフィを使う。点検口を開けて自分の目で確かめる。手間がかかる。時間もかかる。しかしそれをやらなければ、原因は特定できない。
原因を特定してから対策を考える。その順番を守るだけで、無駄な工事がなくなる。お客様の費用も時間も守られる。
当たり前のことだ。しかしこれができる人が、この業界には意外と少ない。
現場で「おそらくだろう」と思った瞬間、立ち止まってほしい。その思い込みが、大きな失敗につながる。
漏水は必ず再現せよ。それだけだ。


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