「262の法則」という言葉を知っているだろうか。
どんな組織でも、人材の構成比が自然と「上位2割・中間6割・下位2割」に分かれるという法則だ。「働きアリの法則」とも呼ばれ、積極的に動く2割、普通に働く6割、怠ける2割に分かれる現象が由来とされている。 Kaonavi
これは自然界でも確認されている現象だ。人間の組織も例外ではない。
横並び意識という落とし穴
35年間、現場でたくさんの若手と向き合ってきた。
最近気になるのは、努力をしない横並びの意識だ。「みんなと同じくらいでいい」「目立ちたくない」「上を目指す必要はない」——そういう空気が漂っている。
でも考えてみてほしい。横並びでいようとしても、どれほど優秀な人材だけを集めたとしても、時間がたてば必ず2:6:2の比率が生まれる。 Jinjibu
つまり、全員が「中間6割でいい」と思っていても、自然と差がつく。誰かが上位2割になり、誰かが下位2割になる。それが組織の現実だ。
上位2割を目指す理由
上位2割に入ることは、特別なことではない。
意識を少し変えるだけでいい。周りと同じことをしているだけでは中間6割に埋もれる。少し視野を広げる、少し先を読む、少し多く動く——それだけで上位2割に近づける。
現場で上位2割の人間は、仕事が楽しそうだ。任される仕事が増える。信頼が積み上がる。結果として給与も上がり、キャリアも開ける。
下位2割を「切り捨てない」理由
興味深いのは、下位2割を排除しても、残ったメンバーの間で再び同じ比率が形成されることだ。 Jinjibu
だから「できない人を切ればいい」という発想は間違っている。
下位2割の人間にも、その人にしかできないことがある。その人の「使命」がまだ見つかっていないだけだ。管理職の仕事のひとつは、その人が輝ける場所を見つけることだと思っている。
怒鳴っても変わらない。追い込んでも変わらない。その人が「自分にもできる」と感じる瞬間を作ってやることが、管理職の本当の役割だ。
中間6割が現場を支えている
忘れてはいけないのが、中間6割の存在だ。
派手さはない。でも現場を毎日支えているのはこの6割だ。上位2割が引っ張り、中間6割が支え、下位2割が学ぶ——そのバランスがあってこそ現場は動く。
中間6割の人間が「もう少し頑張ろう」と思える環境を作ること。それが管理職として一番大切なことかもしれない。
評価と262の法則——中途入社で気づいたこと
262の法則を評価に当てはめると、こうなる。
- 上位2割——A評価
- 中間6割——B〜BC評価
- 下位2割——C評価以下
シンプルだ。でも今の会社はそうなっていない。
長年の横並び体制が根付いている。頑張っても頑張らなくても、大きな差がつかない。中途入社でいくつかの会社を経験してきた私からすると、正直違和感がある。
わかっているのかいないのか。世の中はそれほど甘くない。
市場では常に262の法則が働いている。取引先から見ても、施主から見ても、現場の職人から見ても、「あの監督は上位か下位か」は一瞬でわかる。社内で横並びでいられても、社外では必ず差がつく。
評価制度そのものに262の考え方を組み込むべきだと思っている。それは厳しくするためではない。一般常識として、自分が今どこにいるかを知るためだ。
知らなければ成長できない。知っていれば、少なくとも自分で選択ができる。
この法則を知っているかどうかで、見え方が変わる
262の法則を知らないと、「なぜあいつは頑張らないのか」「なぜこんなにバラバラなのか」と悩み続ける。
でも知っていれば、「これは自然な現象だ」と受け止められる。その上で、どう動くかを考えられる。
知識は武器だ。この法則を知っているかどうかで、現場の見え方がまったく変わる。
若い技術者たちにはぜひ、この法則を頭に入れておいてほしい。そして自分が今どの層にいるかを客観的に見てほしい。横並び意識を捨てて、少しだけ上を目指してほしい。
それだけで、現場は変わる。自分も変わる。
今夜も一杯やりながら、そんなことを考えている。


コメント